空洞
その小さな種は軀の中でどんどん成長し 軀の大部分に溶け込むように大きくなった
そして今それが一気に飛び出した
後に残った軀には大きな空洞がポカリ
なんせ大半が空洞になってしまったのだから大変だ
それが空洞なのかもわからないほど、僅かに輪郭だけを残してる姿は滑稽にも見える
もっとゆっくり時間をかけて成長したのなら、大きく育っちながら混ざり合って新しい形が出来たかも知れない
はたまた徐々に飛び出したなら、或いは少しずつ修復しながら分離できたかも知れない
この大きな大きな何も無い空洞 きっと空洞はこのまま空洞であるだろう。
ならばせめて飛び出して行った大きなそれが、さらに大きな大きな世界の中でもっと大きく大きく育つ事を願って、静かにその役目を終えるのも悪くは無いか。